
プロジェクト破綻の原因は見積の甘さにある
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最近、大手の企業様の仕事を数点頂き、チャンスを掴んだため、少し舞台を変えようと考えております。
開発において、単価が低いことのリスクは、受発注者のどちらにもあると、何度か書かせて頂きました。
ただ、事実、私は総合での見積もりは安いのです。
あらかじめいうと、これは、自分の売りでもなんでもありません。どちらかというと、悪い点です。
では、それは、なにか?
スケジュールが希望的観測になっている部分があるため、価格が低くなっているのです。
これは、私に限ったことではなく、フリーの技術者にはありがちなことです。
事実、何度もそういった現場を見てきました。
(甘い見積もりが尾を引きプロジェクトが破綻してしまっている)
エンジニアはこのくらいで作れるだろうと、甘い見積もりを出してしまうのです。
これは、エンジニア(受注者)、クライアント様(発注者)双方に不幸になる事案です。
私自身がチームを作る際は発注者になることもあります。
その際に、最近では意識していることがあります。
それは発注価格は下げないようにすることです。
そうではないと、高確率で、そのプロジェクトは破綻するためです。
そのため、相場の単価から離れてはいけないわけです。
ちなみに単価というものは、簡単に割り出せます。今は便利なAIがありますからね!
では、まずは、相場を見てみましょう。
下記は私が出したものではなく、AIが算出したものです。
- フロントエンド/バックエンドエンジニアで70万~80万円/月
- インフラエンジニアで60万~70万円/月
まずは70万と考えましょう。
ここまでは驚くことはありません。
私もエンジニア一人は70万くらいが相場だろうという感覚です。
ただ、問題は開発期間の方です。
こちらが見積もりが甘いことが多いのです。
では、SNSサイトを一人で開発するとして、どのくらいかかるでしょう?
ChatGPTに聞いてみましょう。
有名なX(Twitter)の開発工数でみてみます。
ちなみに、現時点でのXの機能を算出すると億とかになってしまうので
シンプルな時代のTwitterのもので算出してもらっています。
スペースや有料の機能、コミュニティなどはなく、ツイートしてフォローするだけです。
約1,800〜3,000時間
- 1,800時間 → 約10.2ヶ月
- 3,000時間 → 約17ヶ月(1年半ちょい)
ツイート、フォロー、メッセージ、プロフィール編集ができる程度です。
これを単純に月に70万で計算すると、最低時間で700万、最高で1190万になります。
この業界の価格交渉においては、期間を短くすることを一番に考えます。
無駄な作業を落として、コスト削減しましょうと。
ちなみに、4ヶ月に短縮できれば、280万になります。
事実、天才が作ると短縮されるのは事実です。価格の問題ではなく、早く世に出したいのであれば、優秀なエンジニアは良い選択肢でしょう。
しかし、優秀なエンジニアは価格が上がります。
下記がChatGPT算出の優秀なエンジニアの相場となります。
- フリーランス(エキスパート):2,000万〜3,000万超
- CTO経験者・AI/セキュリティ特化系など
ちなみに、エンジニアって、たまに個人での脱税ランキングに姿を現します。
1位 プログラマー:4,927万円/716万円
要するにトップクラスはこの年収です。
通常の人の4倍以上仕事ができる人です。ここではフリーランスエキスパートで算出しましょう。
3,000万の人が4ヶ月動く場合なので、1,000万です。
ただ、この人でも、4ヶ月は現実的ではない気がします…。
では、当初の普通のエンジニアの方が3ヶ月で受けた場合を考えましょう。
70x3 = 210万
要するに、これは納期も3ヶ月に設定されている形です。
なら、工数は置いといて、納期は長くすればいいとお考えの方もいるかもしれません。
ただ、これはスケジュールを長くしても、短いままでも結果は同じです。
90%完了しない案件だからです。断言しても良いです。
それは、なぜか?
当たり前ですが、開発者が生活できないからです。
実際かかるのは17ヶ月です。これは納期を設定しようがしまいが、平均はこれなのです。
210割る17はどうなると思いますか?
12.3万/月です。
これは収入ではなく、売上です。
こうなるとどうなるか。
発注の際の私の経験からすぐにわかります。
エンジニアサイドは雑に仕上げるか、最悪、途中で辞められて逃げられるかのどれかです。
私に相談いただいた、クライアント様から一番の聞く話が下記です。
前回担当のエンジニアと連絡が取れない。
要するに、圧倒的に逃げるエンジニアが多いのです。
収入が激変するのは命に関わりますからね。分からないでもないです。
雑に仕上がれば、まだマシでしょう。ただ、それも何の意味もありません。不具合だらけですから。
これの防御策は簡単
エンジニアはしっかりした工数を出すことです。
それが、自分の関係している方が不幸にならないことへの、唯一の方法です。
最後に、初期段階のTwitterを制作するにおいて、ChatGPTが出した詳細の工数は下記
- 要件定義・仕様設計:200〜300h(画面・DB・API設計など)
- ユーザー管理:100〜150h(登録、ログイン、プロフ編集、認証系)
- 投稿システム:250〜400h(投稿、画像・動画アップ、編集削除など)
- タイムライン表示:200〜300h(パフォーマンス考慮含む)
- フォロー/リレーション構築:150〜250h(フォロー状態の管理と反映)
- DM(チャット系):150〜250h(通信処理、リアルタイムWebSocketなど)
- 通知・リアルタイム処理:150〜250h(いいね・RT・リプ・通知バッジなど)
- ハッシュタグ・検索:100〜200h(インデックス最適化、トレンド反映)
- モデレーション・通報:100〜150h(管理者フラグ・非表示処理)
- 管理画面:100〜200h(CMS風の運営ツール群)
- インフラ構築:100〜200h(Docker, Nginx, Redis, Gunicorn etc.)
- テスト/デバッグ:200〜300h(総合テスト、E2E、負荷テストなど)